こんにちは 管理人のウサギです
ウサギは新人酪農家です。(私の酪農仕事の履歴は後日詳しく書きますね)数日前に、私はとんでもない大大大失敗をしてしまいました。これはその時のお話です。
新人は 仕事を覚えること、慣れることでいっぱいいっぱいです。
牛の足元の敷料(おがくず)を交換する、という牛からの距離が遠い作業から始まり 子牛の哺乳(母牛の乳やミルクを作って飲ませる作業)、搾乳(乳を絞る作業)のアシスタント、ミルカー(牛の乳頭に装着して搾乳する機械)の洗浄・・と、作業内容が徐々にステップアップしてきました。
1ヶ月ほど前から始めたミルカーの洗浄は、作業工程が多く、また場合によって追加される作業もあったりで、不慣れな分とても緊張します。
さらに、(大失敗をしてしまった日の)前日から、本格的な搾乳作業に加えてもらっていました。牛さんの足の間をのぞき込むようにしてかがみ 乳頭をきれいにしたり、手で少し搾ったり、ミルカーを装着したり・・。牛との距離が近い上に、コツがつかめずなかなか上手く乳が出ません。焦ってもたもたしていると牛が動いて蹴られそうになるしで緊張の作業が続きました。
搾乳作業が終わり、ホッとすると 次はミルカーの洗浄作業です。この日は、私が苦手意識を持っている作業も追加されていました。
バルククーラー(搾った牛乳が入るタンク)からホースを外したり、機械のパーツを外して洗ってセットしたり、たくさんの工程を経て 洗浄機械のスイッチオン。ブーンと機械が回りだします。しかし 空気がもれているのか上手く洗浄されていないミルカーがあったので、焦ってセットし直し、ようやく全て正常に洗浄できていることを確認しました。
そして苦手な作業も何とかクリアして、ホッとしたところで
後ろからジャーーーーーー!!と音が。びっくりして振り返ると、バルククーラー(搾った牛乳が入るタンク)のすぐ近くにぶら下がっているホースから白っぽい液体が すごい勢いで流れ落ちています!
キャーキャーパニック状態の私は、牛乳(のような液体)が滝のように流れ続ける中、慌ててホースをつかみ、急いでバルククーラーへつなぎました。
ちがう、ちがうちがうちがう!!これは牛乳じゃない!洗浄水だ!!バルククーラーから慌ててホースを外し、なおも勢いよく流れ続けているホースを洗浄機械へつなぎました。
本来の場所につないだ後は静かになり、いつも通りの洗浄音が流れ始めました。いまだ心臓のバクバクは止まりませんが、頭の中のパニックは落ち着いてきました。
ホースを洗浄機械につなぎ忘れていたんだ・・。ただここへつなげばいいだけのことだったのに、よりによってバルククーラーへつないでしまった・・・
私は、なんてことをしてしまったんだ
バルククーラーに洗浄水を入れてしまったことで、中に入っていた牛乳をすべてダメにしてしまったのです。ことの重大さに頭が真っ白になりました。メガネくん(主人)はおがくずをもらいにダンプで出かけて牛舎にいなかったため、お義父さんに報告しました。お義父さんは「おっ?!ありゃりゃ・・。オレもなぁ、一回やったことがあるんじゃ」と言うと、淡々と牛乳を廃棄する作業に取り掛かりました。
メガネくんと、お義父さん、お義母さんが、一生懸命搾った牛乳なのに・・
牛さんたちが身を削るようにして 作り出してくれた大切な牛乳なのに・・
みんなの・・すべての努力を水の泡にしてしまった
牛乳パック1500本ほどにもなる大損失・・ごめんなさい、では済まされないくらいの事態の大きさに、自分への不甲斐なさに、おがくずを取り替える自分の仕事に戻りながら、涙がじわりじわりと流れてきました。お義母さんも「何てことないさ。失敗はだれにでもあることやで」と声をかけてくれました。
白い川のようになみなみと流れ 廃棄される牛乳を見ながら、これは二度とやってはいけない、この光景を目に焼き付けておかなければ・・と思い、バルククーラーから最後の1滴が落ちるまで見守っていました。
同じ間違いをしないためにも、作業も自分なりに改善していこう・・そう決意し、牛さんたちに謝りにいくような気持ちで放牧地へ向かいました。牛舎の中でのパニックが別世界のように、心地よい風が吹き、平和で穏やかな風景でした。
お義父さんから状況を聞いたらしいメガネくんからLINEのメッセージが入っていました。
「ドンマイ!誰でも一回は経験することですよ」
ウサギ家のみんなは優しいです。
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