帰ってこないオランジーナちゃん(1)〜放牧での出来事〜

こんにちは 管理人のウサギです

 

 

ウサギ家の牧場では、春〜秋の間 放牧をしています。

冬、雪で覆われた放牧地は スキー場のゲレンデとなり、牛さんたちの代わりに ウインタースポーツを楽しむ人々で賑やかになります。

そんな場所なので、うちの放牧地は、放牧のイメージで真っ先に思い浮かぶような 広大で平らな放牧地ではなくて、傾斜地・・つまり「山」です。

 

良く言えば、牛さんたちの足腰が鍛えられる放牧地だと言えるし、悪く言えば、エリアによっては 牛さんたちに負担のかかる放牧地だとも言えます。めったにないものの、牛さんが足を怪我したりする 放牧中の事故もあります。

 

 

先週のこと。

朝の搾乳後、放牧へ出かけた牛さんたち。夕方の搾乳前、いつものように 牛舎に戻ってきました。しかし、オランジーナちゃんという 1頭の牛さんだけ戻ってきません。お義父さんが、放牧地へ確認しに行ったのですが、ススキに阻まれて 姿が見えない、と戻ってきました。その日の放牧地は、年々 ススキの勢力が広がってきているエリアで、一部は まるで群生地・・ススキの森のようになってしまっているのです。

 

オランジーナちゃん探しは、私とメガネくん(主人)にチェンジ。

私は、歩いて放牧地へ向かい、メガネくんは、軽トラに乗って 一旦ゲレンデのふもとまで下り、放牧地全体を確認しに行きました。

 

 

しかしまぁ、放牧から帰ってこないなんて・・

放牧デビューしたての和牛チームなら 分からんでもないけど( ↓ )

モ〜 帰る時間だよ〜
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オランジーナちゃんは、乳牛の中でも 素直で大人しい牛さん。何かトラブルがあったのでは・・と不安がよぎります。

 

 

ススキの森に到着すると、状況は 想像以上。私の背丈を越す高さのススキが、えのきだけのように ぎゅっと固まって大きな株になり、そこらじゅうに群生しています。日が傾き始め、ススキの森を見上げると、黄金色にキラキラ・・果てしなく続いているように見えます。途方に暮れながらも、名前を呼べば、声に反応してオランジーナちゃんが ひょっこり出てきてくれるんじゃないか?・・淡い期待をしながら、ススキの森に向かって名前を呼びました。

 

そして、メガネくんが合流。

下から見ても、キラキラと反射するススキが見えるばかりで、手がかりがないようでした。そこで、右側・左側 二手に分かれてススキの森を捜索することに。私には、リフトの支柱周りを確認してほしいとのこと。以前、リフトの支柱の出っぱりに 牛さんの首輪が引っかかり、動けなくなってたことがあったからだそうです。

 

「支柱・・支柱」

 

支柱まで まっすぐ進みたいのですが、ススキの大きな株に阻まれて、思うように進めません。とはいえ、ただのススキの集まりなので、試しに ガサガサガサ〜ッと、株の中を分け入って 進んでみましたが、無駄に体力を消耗する割に、そんなに進めません・・。素直に、株を迂回しながら進むことにしました。

 

ガサガサガサ〜! こんなの、とてもじゃないけど続けられない!

 

でも・・迂回すると、

どんどん支柱から離れていく気がする・・。

 

 

ススキの株を迂回する道は、狭いものの まぁまぁ歩きやすくて、こういう場所を動物たちも通ってるのかね〜、なんて考えながら進みます。

 

ん?・・けもの道!?

 

見通しの悪いススキの森、急にガサガサッ・・と、シカやら イノシシやら クマやら何か出てきたら、私 どうすればいいの?急に心臓がドキドキし始めました。この山のどこかに、クマがいる可能性はあるんです。ふもとの集落で、クマの目撃情報を知らせるスクールメールを何度も受信してますからね。北海道かどこかで、放牧中の牛さんがクマに襲われたニュースもあったよな・・オランジーナちゃん、まさか!

 

今更ですが、一人で行動していることを激しく後悔しました。

クマ鈴なんてもの持っていないので、スマホに入っている音楽を 最大ボリュームで流し、「ここに人がいますよ」アピールをしながら進みました。

 

そんなこんなで、気づけば、肝心なリフトの支柱からは だいぶ離れてしまっています。

 

くくっ・・どうやって、あんなとこまで進めばいいんだ。

・・でも、支柱を見てこい、って言われたし。

なんとか 行ってみるか。

 

方向転換をし、ススキの株の間をぬって支柱を目指して進み始めたところでした。白い何かが 横たわっているのが見えたのです。

 

オランジーナちゃん??

 

急いで近づくと、やはりオランジーナちゃんでした。傾斜地に頭を下にして、ぐったり横たわっていて動きません。私はもう、びっくりして、

 

「オランジーナちゃん!オランジーナちゃん!!」

 

と 大声で呼びながら、ペチペチ顔を叩きました。すると、オランジーナちゃんは、ビクッと目を覚まして、ブリブリブリ〜とウンチをしました。

 

よかった!生きてる !!

 

でも、苦しそうなことに変わりないし、一刻を争う状況なんだ!と焦り、

 

いたーー!

いたーー!

オランジーナ、

いたーーーー!

 

と、別の場所にいる メガネくんに聞こえるように 叫びました。

 

メガネくんは、意外と近くにいて だんだん声が近づいてくるのが分かりました。メガネくんの到着を待ちながら、オランジーナちゃんに「もう大丈夫だからね!今助けてあげるからね!」と、声をかけてあげることしかできませんでした。

 

 

長くなったので、続きは次回にしますね。

がんばれ オランジーナちゃん!

 

帰ってこないオランジーナちゃん(2)〜放牧での出来事〜
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コメント

  1. ゆーじぃ より:

    おひさしぶりです^ ^
    緊迫感がありそうな話なのにオランジーナちゃんの名前で少し緊迫感が緩和されてる感じが(´・∀・`)

    • ウサギ より:

      ゆーじぃさん

      こんにちは(^ー^)
      思いきり商品名を連呼していますけど
      NHKじゃないので ヨシとします(笑)。

      昔のオランジーナのCMシリーズで、
      リチャード・ギアが出てくるものがあったのですが、
      毎回 男の子が爆笑するシーンがあって、
      よく つられ笑いをしていました。
      CMのように、ほのぼのした性格のオランジーナちゃんです。

      そうか・・この話は
      名前にも救われてるんですね(^▽^)!