こんにちは 管理人のウサギです
放牧から帰ってこない乳牛、オランジーナちゃんを ススキの森で発見したところまでが、前回のお話でした。

メガネくん(主人)が到着しました。
オランジーナちゃんの苦しそうな様子を見て、とりあえず楽な体勢に動かしてあげることに。そのままだと、おなかにガスが溜まってしまうそうです。
メガネくんが持っていたロープを、オランジーナちゃんの体にかけ、私とメガネくんで綱引きみたいに引っ張ったり、(記憶が定かではないけど)傾斜を利用して ゴロンと一回転させたりしながら、少しずつ動かし、無事に体勢を変えることができました。普段 リラックスしている時みたいに、頭を上にして座る状態になったオランジーナちゃんは、呼吸が楽になり 少しずつ平常心を取り戻しつつあるように見えました。
よかったね〜、まずは安心
・・でも 次は、ここからみんなで牛舎へ帰らなければなりません。
メガネくんが、オランジーナちゃんの後ろ脚に 深い切り傷を発見しました。他に ねんざや、骨折などしていないか・・脚の状態に不安が走ります。
オランジーナちゃんに立ってもらおうと、押したり引いたりしましたが、オランジーナちゃんには 全くその気がないような様子で、立ち上がろうとしません。少しでも立ち上がりやすい場所へ・・と、ロープで引っ張りながら少しずつ動かしてもみましたが、やっぱり 本人(本牛)が 立ち上がる気がなければ、人間2人の力で 大きな牛さんを動かすのは無理なのです。
オランジーナちゃ〜ん、一緒に家へ帰ろうよ〜
困ったな・・。
お義父さんも呼ぶことに。
しばらくすると、ススキの森の中を ガサゴソ・・「よぅ(よく)こんなところ見つけれたな」 と言いながら、お義父さんがやってきました。長いベルトを持ってきてくれたので、ロープ+ベルトで、オランジーナちゃんを引っ張ったり、押したり。でも、オランジーナちゃんは「モォォォ〜・・」と弱々しく鳴くばかりで、やはり 自分で立ち上がろうとしません。お義父さんとメガネくんが、その様子を見ながら「こりゃ・・(脚を)骨折しとるのかもしれんぞ」と話しているのが聞こえて(そんなぁ・・)とショックでした。
日が暮れかけたので、その日は 一旦 牛舎に戻ることにしました。オランジーナちゃんは、その場所でそのまま 一晩過ごすことになります。そのため、牛舎から 水とエサを運んできて、オランジーナちゃんのそばに置いておくことにしました。もし 自力で立ち上がっても危なくないようにと、もうひと頑張りして、3人で少しずつ引っ張りながら 傾斜の少ない広めの場所に移動させました。
「また戻ってくるからね、ここで待っててね」
よしよしよし・・とオランジーナちゃんをなでて、その場を後にしました。牧草地を下りながら頭に浮かぶのは、弱々しく鳴くオランジーナちゃんの姿で、明日まで無事でいてくれるかどうか・・不安で、胸が締め付けられる思いでした。
牛舎に戻ると、オランジーナちゃんへ届けるための水とエサを、自走式マニアスプレッダー(キャタピラ式の作業機)に積み、お義父さんが出発しました。それを見送って、私は子どもたちのお迎えのため 自宅へ帰りました。
すっかり日が暮れて、子どもたちと帰宅後のバタバタ時間を過ごしていると、LINEの着信が。メガネくんからの動画でした。真っ暗な映像で分かりにくいものの、お義父さんに引かれた オランジーナちゃんが、のっそのっそと歩いて 放牧地を下っている様子でした。
うそ! 信じられない
もうしばらくすると、今度は 明るい牛舎内でエサを食べているオランジーナちゃんの写真も!本当に・・帰って来れたんだね!
聞いた話によると、お義父さんが 水とエサをオランジーナちゃんにあげると、水はそんなに飲まなかったものの、エサを勢いよく食べたそうです。そこで、別の種類のエサを マニアスプレッダーまで取りに行き、再び オランジーナちゃんのもとへ戻ると、なんと 立っていたそうなのです!そこで、メガネくんを呼び、オランジーナちゃんを前後で挟むようにして みんなでゆっくり下山した・・先ほどの動画は、その時の映像だったようです。山を下りながら、ふもとの集落の灯りが見えて、家(オランジーナちゃんにとっては牛舎)へ帰ることができる安堵感や、オランジーナちゃんの頑張りに メガネくんはジーンとしたそうです。
エサを食べた後、オランジーナちゃんの気持ちに、どんな変化があったんでしょうね。脚を引きずりながらでも 牛舎へ帰ってきてくれたことが、ものすごく嬉しかったです。そして、オランジーナちゃんの事故を繰り返さないように、次の日から 放牧は、なだらかな斜面のエリアに変更されました。
あれから1週間・・・
奇跡のがんばりを見せた オランジーナちゃんですが、脚の状態は、日に日に悪くなっていき、ついには 自力で立つことができなくなってしまいました。
家畜である動物が立てなくなる = もう牧場を出ていかなければならない・・ということになります。奇跡の復活を信じて、エサを食べやすいところに置き、せっせと水を運んで飲ませ、よく話しかけました。オランジーナちゃんは、これまで通り 穏やかで、よく食べ、よく飲むのですが、ただ 立てない・・。獣医さんと話し合った結果、ついに牧場を出て行く日が決まってしまいました・・。
でも・・、
ひょっとしたら明日の朝、何でもなかったかのように立ってるかもよ!
オランジーナちゃんの2回目の奇跡を、まだ信じていたいです。
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